研究ノート


フリーフォントライセンスの留意点

フリーフォントと聞くと、
印刷物のポップやSNS・動画などに無料で使えるものと考えるのが一般的です。
ですが、まとめ記事を参照していると、ライセンスを気にしてオドオドしてしまうことが多々あります。 このあたりの曖昧な部分を少し紐解いていきたいと思います。

一般的なフリーフォントライセンス区分(使用許諾範囲)

〔1次使用領域〕
①印刷(紙媒体・固定物・グッズ等/ロゴ使用 ※商標不可/アウトライン化・変形等)
〔2次使用領域〕
②動画・PDF化(テレビ・映画・CM・テロップ・WEBバナー・YOUTUBEカスタムサムネ・デジタルサイネージ等)
③アプリ(ゲーム・FLASH・専用ソフトウェア・プリクラ等)
④WEBフォント(WEBサーバーへのアップロード)
〔禁則〕
無断販売

個人利用可と商用利用可

『フリーフォントのまとめ』記事などでよく目にする
個人利用可商用利用可、これらは解釈は以下のとおりです。
○個人利用可 = 試供品
→ オフラインのみで使用可能。試し打ち用。
○商用利用可 = 上記の①と②の範囲内で使える。
→ ③と④はお問い合わせ。 ※ものによってはロゴ使用で問い合わせが必要な場合もある。

と、さほど難しい事はないのですが、少し困ったケースが以下のタイプ。
△個人利用可 = 非商用
→ 身内で使うならいいよ!というもの

最近の実例を挙げますと、『6つ子フォント』と『イカモドキ』
6つ子フォントは、現在商用利用可となりましたが、イカモドキは、公開を終了しています。
現代の情報発信の仕組みでは、学祭だろうがオフ会だろうが、第3者の目に触れるものは、意図せぬ形で商用に転じる(3次使用の)可能性があり、その場合、個人利用の領域を超えてしまいます。
結局、個人利用可 = 非商用 → 身内で使うならいいよ!と言われても、実際使用してみると、モヤモヤした気持ちになり、あまり気持ちのいい創作活動には結びつかないのが現状です。

[非商用利用とは]
ここでいう非商用利用とは私的または個人的立場での使うことを前提としています。以下に記載した内容が非商用利用としてあてはまります。
・どのような形であれ対価の支払いを受けない
・営利目的用途の成果物作成を目的としない
・商業的サービスの提供・宣伝を目的としない
具体例: 個人の趣味のサイト・ブログで商品の売買取引のないもの
商業目的の無いチームやグループの活動報告のサイト・ブログで商用サービス等の広告掲載のないもの
趣味で制作した商品を紹介するのみのサイト・ブログ
上記以外の利用については全て[商用利用]とさせて頂きます。
※ダイナフォントより引用

公開・紹介で気をつけること

以上のことから、一般的なフリーフォントを制作・公開・紹介する際は、①と②のライセンスがクリアされているか、きちんと確認することをオススメします。
※ロゴ云々に関しては、応相談でもよいでしょう。

ちなみに、フォントには創作物としての著作権が基本認められていないので、漫画やゲームのトレパク系フォントも意外と問題なかったりします。実際なにか重大な迷惑行為が生じたのか?というとあまり無いように思います。著作権にうるさいディズニーフォントも商用可で存在し続けているくらいですし。

6つ子フォントは「おそ松さん」という5文字から独自に派生させたのに対し、イカモドキは、ひらかな・カタカナ・数字・記号を全トレースした。このあたりの経緯が、商用と発展したのと、公開を控えたという大きな理由ではないでしょうか。
いずれにせよ、人気作品の独自の文字をフォント化すると耳目が集る!などと商業的スケベ心をむき出しに色々やり過ぎてしまうと、必然的に社会的迷惑行為としてみなされ、何かしらの制裁を受けることになります。腕試しや愛情表現はほどほどに。

2017. 8. 6 SUN / もじワク研究:ひろきちゃん